自然素材の耐候性

「江ノ島小屋」こちらの建物、台風ともなれば屋根の上から波をかぶる程、海に隣接した敷地に建っています。ステンレスでさえも、数年で腐食してしまうようなハードな外部環境。塩害に対する耐候性を考慮し、外壁にはパイン(松)の板を張り込みました。

竣工当初、赤茶色だった松板の外壁は、竣工から12年の歳月が経ち、すっかり灰色に変色し、味わい深い表情を見せています。色こそ変化しているものの、板が反ったり、剥がれ落ちたりすることもなく、雨風や日差しからしっかりと建物を守っています。汚れたという印象はなく、むしろ味わいを増した、という表現の方が良く合います。板金やサイディングなの新建材では、きっとこうはいかなかったでしょう。

自然素材というと、耐候性が低く、メンテナンス性の面でも手間がかかると思われているかも知れませんが、このようなハードな外部環境に対しては、新建材にも劣らない性能を持つ事が証明できたのではないでしょうか。時間が経つに従って、価値が減るのではなく、逆に価値を増すというのは、自然素材にしか出せない利点だと思います。

パイン外壁経年変化
パイン外壁経年変化