東京の明治通りを歩いていると、遠くからでも明らかに周囲の建物と異なる特徴的な外観が見えてきます。堀田英二設計の集合住宅ビラ・ビアンカ。建物の竣工はちょうど東京オリンピックの開催された1964年。まだ東京も都市化する前の懐かしい風景が残っていた頃。今であればデザイナーズ集合住宅といえば大半の人が分かると思いますが、集合住宅にデザインを持ち込むことがマイナーだった時代に、今見ても斬新に感じる集合住宅を考えついていた設計者の創造力には驚きです。
外観は積み木を互い違いに積んだような市松模様。へこんだ部分が各住戸のバルコニーとなっているようです。井桁状に組まれた梁が外部へ現れているからか、平面が雁行状にズレているからか、コンクリート造でありながら、なんとなく木で組みあげたような日本的雰囲気が感じられます。コンクリート井桁梁を見せた建物といえば、丹下健三設計の香川県庁舎が有名ですが、香川県庁舎の繊細な表情と比べ、こちらは即物的な力強さが感じられる建物となっています。
こちらの建物、竣工して50年経った今でもメンテナンスされながら大切に使われているようです。その効果あってか、いまだに全ての部屋が満室だと聞きます。スクラップ&ビルドの時代の中で、価値を失わず使われ続けているということは本当に素晴らしいことだと思います。時間とともに価値を失っていくのではなく、逆に価値を増していく建物。消費されるのではなく、時間経過とともに価値を増していく、そんな強度のある建物が増えていけば、街の魅力も増していくのでしょうね。
ビラ・ビアンカ
住所:東京都渋谷区神宮前2丁目33-12
見学について:内部の一般公開はしていません。
参考WEB:http://www.r-store.jp/room/3894
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