岡啓輔設計「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」を訪れて(その2)

続き
また手で扱える範囲という施工条件を最大限活かし、この造形は導き出されています。今そこにある道具と技術から導き出された形。一回の打設量が多ければ、こうはいきません。こつこつと作ることで可能となる形。部分部分で異なる造形が現れているのは、この工法と掛ける時間の成せる業です。

話は変わりますが、岡さんは舞踏家という顔も持っています。ほぼ日で岡さんはこのようにコメントしています。(引用→) 「それに対して踊りは、思ってから踊るのではなく、思う前に身体が動いていないといけません。思考を追い越すこと、そこが踊りの面白いところなんです。だから建築も、頭の中のイメージと出来上がるものの距離を縮めることができれば、もっとよくなるはず」この文章を読んで、なるほどと合点がいきました。そうか、岡さんにとって、踊ることと、建築することは同じことなんだ、と。言い換えてみると「思ってから作るのではなく、思う前に身体が動いて作り始める。建 築が思考を追い越すこと。」これが重要だと。この文の最初にも書きましたが、外から見た建物の姿がまるで踊っているように見えたのは、あながち間違いではなかったのでしょう。「踊るように、建築する。」

今まで色々な建築を見てきましたが、私個人的には、今回かなりの衝撃を受けました。蟻鱒鳶ルの毒にあたったというか。忙しい中、案内をしていただいた岡さんに感謝いたします。次はただ見学するのではなく、ぜひ参加したいと思います。作業着を着て伺いますので。

蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)
住所:
見学について:内部の一般公開はしていません。
参考WEB:蟻鱒鳶ル保存会

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