渡邊洋治の設計した建物を見るのは、この建物で2つ目になります。1つ目は糸魚川の「善導寺」でした。街の中に突如現れた艦船のような善導寺を見たときは、その外観にとても驚かさたことを鮮明に記憶しています。
「斜めの家」の竣工は1976年。善導寺が竣工して10年と少し経った後に建てられた住宅です。「斜めの家」も善導寺と同じように、何の脈絡もなく住宅街の中に突如姿を現します。その個性的な外観は、その周囲の街並から明らかに浮き立ち、遠くからでもその存在を感じることができます。私がこの建物を見つけたのは、道路を車で走っていて、目に留まったことがきっかけです。それくらいインパクトのある外観をしています。
見た目は地面の上に無造作に斜めにごろんと置いた鉛色の箱。その箱の側面には小さな穴がいくつもランダムに穿たれています。その外観から推察するかぎり、どう贔屓目に見ても住宅には見えません。箱の上に屋根が掛かっていることから、かろうじて建物であることだけは認識できる程度。住宅というよりも、どちらかといえば地中から浮上した潜水艦といった方がしっくりきます。鉛色の外壁がそのような印象を与えるのかもしれません。
鉛色の外壁は、近くに寄ってみるとべこべこと皺ができており、とても薄い板を張り付けているように見えます。調べてみると、銅箔仕上げで仕上げてあるらしいということが分かりました。銅板ではなく、銅箔。それであの柿渋和紙を張りつけたような独特の表情が出ているのかと納得しました。
ランダムに設けられた小さな無数のポツ窓と、斜めであることによって、スケール感が狂い、全体の大きさが掴みにくいのですが、とても小さな建物です。(写真ですと更にスケール感が伝えにくいのですが。)
外観から勝手に予想するに、家の内部は斜めのスロープでつながる部屋で出来ているようです。今回は外からの見学だったので、内部を伺い知ることはできませんでした。
ぜひ、機会があれば内部空間も体験してみたいと思います。一体、どのような空間が内部には広がっているのだろう。やはり潜水艦の内部のような個性的な空間が出来上がっているのだろうか。想像が膨らみます。
後日、内部を見学させていただきました。→ 渡邊洋治設計 斜めの家を訪れて(内部見学)へ
斜めの家
住所:新潟県上越市(非公開)
見学について:建物の一般公開はしていません。見学希望の方は下記HPへ問い合わせください。
参考HP:渡邊洋治設計『斜めの家』再生プロジェクト
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