渡邊洋治設計「善導寺」を訪れて

渡邊洋治設計/善導寺

住宅が建ち並ぶ新潟直江津のまちなみ。ありふれた住宅風景の先に突如、その建物は現れました。まさに現れたという表現が相応しい外観。何の先入観も持たずこの建造物を見たなら、一体何を意図して作られたモニュメントなのだろうか、と考え込んでしまうでしょう。(この建物は、モニュメントではなく、れっきとした由緒あるお寺です。)とはいえ、周辺の雰囲気とは明らかに異なる強い存在感を放って、その建物は存在していました。

渡邊洋治設計/善導寺

8本のコンクリートの柱塊によって、地面から力強く持ち上がられた、全長30メートル以上のコンクリートの塊。至る所で外観に現れている斜めのデザインは、上階へとアプローチするためのスロープや階段をそのまま外部へと表したものです。

渡邊洋治設計/善導寺

お寺の方に声をかけ、特別に見学させてもらえることになりました。地面からは大きなスロープを登って2階のエントランスポーチへとアプローチします。ポーチの左手には本堂、右手は庫裏となっているようです。外部階段を登ってさらに屋上へ。屋上の真ん中には、ちょこんと突き出た展望台が設けられています。展望台に登れば、眼前には日本海の青い海。

建物の設計者である渡邊洋治は、戦時中は陸軍船舶兵として従事しており、艦船に乗船した経験があるそうです。その経験からかくるのか、建物の印象は明らかに船をイメージさせます。展望台に上ってみれば、まさにそこは船の艦橋デッキそのままです。そう思えば、外観の造形デザインも理解できます。1階のコンクリートの塊は船台であり、建物はその上に載せられた大きな船、そのように見えます。そう思ってじっと建物をみていると、今にも建物が船台から浮き上がり、動き出しそうな気がしてきます。

勝手にイメージを膨らませるなら、このお寺「善導寺」自体がノアの箱船のような存在なのかもしれません。信仰を共にする者たちの魂を、現世から来世へと運んでいく箱船。

竣工、昭和38年(1963年)。時代を振り返れば、私が生まれるずっと前に、既にこの建物が竣工していたということに驚きます。そしてこの渡邊洋治の造形力には、ただただ唖然とするばかりです。

善導寺
住所: 新潟県糸魚川市清崎10−3
開館時間/休館日:寺院ですので一般公開はしていません
(見学希望の方は直接施設へ問い合わせください)
電話:025-552-0187

渡邊洋治設計/善導寺

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