名古屋大学豊田講堂を訪れて。こちらの建物は1960年竣工、槇文彦が32歳で設計した建物です。内外とも打ち放しコンクリートの仕上げ、全体的にモノトーンでまとめられています。若々しさというよりも、どちらかというと成熟した落ち着きを感じる建物。意識的に派手さを抑制しているようにさえ感じます。
3層分の高さを持つエントランスポーチから玄関を入ると一転、天井の低いエントランスホール、その奥に再び大きく吹抜けたホワイエと、奥へ進むにつれて縦方向に伸びたり縮んだりと激しく空間が伸縮していきます。また今いる場所から奥の異なる空間が常に見え隠れし、吸い込まれるように建物の奥へと誘われていきます。
この建物の中を歩いて感じたのは、まるで街の中を歩いているのと同じような感覚でした。一見、人間的スケールを越えた冷たい建物のように感じますが中を歩けば、人間的な感覚から導き出した心地よい空間がそこに実現しています。都市的なスケールと人間的スケールの共存。この建物から受けたのはそんな印象でした。
名古屋大学豊田講堂
住所:愛知県名古屋市千種区不老町
電話:052-789-5111(代表)
※大学施設のため一般公開はしていません。見学に関しては大学へ問い合わせください。