敦賀原子力発電所を訪れて

朝の空気の中、車を走らせる。
くねくねと曲がる道の右手には静かな海が広がり、
左手には樹々に覆われた山々が連なっている。
ときどき見える漁村以外には、特に目を止めるものはなく、
どこまでも美しい田舎の風景が続いている。
朝という時間帯もあってか、細い海沿いの道路は、
のんびりとした風景とは、対照的に交通量が多い。
何台ものバスが前を走っている。
行き先には、敦賀原子力発電所と表示されている。
発電所で働く人たちの通勤バスなのだろう。
この細い道路が敦賀原子力発電所へ至る唯一の交通ルートなのだ。
先週の豪雨の影響で、土砂崩れが起き、
道路まで土砂が流れ込んでいる箇所があった。
この半島の裏にある高速増殖炉もんじゅでは、
土砂崩れで道路が閉鎖し、施設が孤立してしまったとのニュースが流れていた。
この海沿いを走る道路は、場所によっては海面近くを走っており、
津波が起これば、容易く流されてしまうであろうことが予測される。
山からの土砂崩れと海からの津波。
道路は、二つの脅威に晒されている。
自然災害により事故や異常が起きたとき、
そこに至るルートが分断されてしまえば、
原子力発電は、手に負えるものでは無くなってしまう。
発電所自体の安全性だけでなく、
その周辺のインフラの整備にも目を向けていってほしい。
静かな海の向こうに、朝日に照らされた敦賀原子力発電所が見えてきた。

敦賀原子力発電所

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