故 大谷幸夫さんを偲ぶ

建築家の大谷幸夫さんが亡くなられました。
ご冥福をお祈りいたします。
大谷さんとは縁あって、お仕事をご一緒させていただいたことがありました。
その時の印象は、若い頃は貴公子と呼ばれていたとの噂どおり、
線の細い体に鋭い眼光をもった、物腰の柔らかな方でした。
建築を語る時は、まるで愛する家族のことを語るような語り口で、
本当に建築を愛しているのだなあと感じさせる、雰囲気がありました。
イサムノグチとの親交が影響していたのか、その当時、
油粘土を手でこね、手の感覚を大切に建物の意匠を検討されていました。
ああ成る程、大谷さんの設計した建物の所々に現れる、あのなめらなか造形は、
この手で作るという工程から現れてくるのだなあと、感心したものでした。
図面ばかり書いていると忘れてしまいがちな、手で作るという感覚を
大事にしなければいけないと、大谷さんは教えてくれました。
今でも私はその教えの通り、図面だけで検討するのではなく、
自分の手で模型を作ってスタディすることを心がけています。
多くのことを教えていただき、感謝いたします。
安らかにお眠りください。合掌。
写真は、力強いV字型の造形が印象的な国立京都国際会館。
大谷さんの代表作。なんと大谷さん、39歳の時の設計。

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