NY州ロチェスター市街の南東に位置する「ファースト・ユニタリアン教会」を訪れる。ルイス・カーンらしく、外装はレンガ積みの落ち着いた重厚な表情。木製枠に透明ガラスを嵌め込んだ大きな開口部が特徴的だ。表現が良くないかもしれないが、一見、教会らしくない。
聖堂内部へと入る。コンクリート打ち放しとブロック仕上げの荒々しくも、静謐な空間が目の前に現れる。4方を開口部の無い壁に囲まれ、唯一光が差し込むのは、上部4隅の高窓のみ。閉じこもりながらも、上部から外の気配を感じるという不思議な感覚だ。
椅子に座り、暫くその空間に耳を澄ます。目を開け、ふと天井を見上げるとそこには、十字架が。4隅を切り取った、天井にはコンクリート打ち放しのクロスが表現されていた。こんな表現があるのかと、驚く。この教会を訪れた者はみな天井を見上げるのだろう。神に祈りながら。1967年竣工。築45年。