バスを乗り継ぎ、京都国際会館へ。1966年竣工。設計は大谷幸夫。
1924年生まれということは、竣工当時の大谷さんの年齢は42歳。その年齢にして、ここまでパワーのあるモノを作ったことに驚きを覚える。あの大谷さんの細い身体、繊細そうな顔立ちから、この様な造形が出てくるとは想像もつかない。V字型の斜めになった柱、特異なカタチの庇や手すり。まるで地球外から下りてきた宇宙船のよう。もう日本的とか何々風とか、そんな一言でまとめられるようなデザインではない。
外観のごつごつとした複雑な表情以上に、内部空間の構成はさらに複雑さを増している。外部に現れている斜め柱は内部にも再び現れ、建物全体を支えている。斜め柱は床スラブを何枚も串刺しにし、何層ものレベルの異なる階を作り出している。当時、大谷さんのもとでこの現場を設計監理していた三宅伸秀氏によれば、斜めの取り合いが複雑で、断面詳細図を何枚も何枚も書き直し、現場が進んでいる間は連日夜通し図面との格闘が続いていた、という。そんな設計の根気強さが、この力強い空間に現れているのだろうか。
ロビーでソファに腰をかけていると、ここが京都であるってことを忘れてしまいそうになる。まるで空想の世界。このまま宇宙へと飛び立っていってしまいそうな感覚に襲われる。