新潟県見附市に2世帯住宅を計画中のご家族から事務所に連絡がありました。設計を進めるといっても、実際にそこに住む方の人柄や好みなどのの手がかり(切っ掛け)がなければ、どこから進めていって良いかわかりません。まずは直接お会いして、希望予算を始め、どんな家にしたいか、どんな暮らしを望んでいるのか、などイメージを大まかに掴むためのお話をします。何部屋欲しいのかや、広さはどの程度か、などの具体的な情報は後でもいくらでも調整が可能ですので、最初に話すのは抽象的な暮らしのイメージについてです。朝起きて一番にすることは何か、今家事で困っていることは何か、好きな音楽は何か、お酒は飲むか、今まで旅行した中でまた行きたい場所はどこか、などなど暮らしのイメージを喚起するためたわいもない話からスタートしていきます。
設計事務所に頼むのだから、きちんと考えて「こういう感じの家にしたい」と伝えなければ、などと気負う必要はありません。自分がどんな暮らしをしたいかなんて具体的にイメージされている方は少数派だと思います。私の事務所に相談にいらっしゃるのは、イメージがあいまいな方が大半です。逆にイメージが固まっていないからこそ、可能性があるとも言えます。色々な話をし、写真などを見て、設計者と一緒に理想の暮らしのイメージを探していくということが、大事な設計作業だと思います。ですので、先ずは気負わずにご相談ください。
と、同時に計画地の現地調査も行っていきます。敷地の周辺にはどんな建物が建っているのか、どんな町並みの中にあるのか、陽当たりや風抜けはどうかなど、実際に敷地に立って確認していきます。大きく窓を取りたいけれど隣の家のリビングに面していて実際にはカーテンが開けられないなど、敷地条件次第でそのままでは要望を果たせなかったりすることもありますので。
暮らしのイメージの実現という内的条件と敷地条件という外的条件にうまく折り合いをつけながらまとめていく必要がありますが、そこは設計者の設計力が問われる場面です。