江ノ島小屋の外壁工事が始まりました。海岸の目の前という立地から、外壁材には塩害に対する耐候性能が求められました。さんざん考えた末に外壁に採用したのは、昔ながらの板張りでした。一見、自然素材は傷みが激しいのではないかと思われるかもしれませんが、そんな事はありません。自然の木は時とともに風合いを増し、潮に磨かれ、落ち着いた表情へと変化していきます。新建材を使った場合、新築で建った時をピークに、次第に汚れが目立ち、朽ちていってしまいます。特にこのような直接海に面しているようなハード環境では、ステンレスでさえ、時とともに風化し錆が浮いてきてしまう程ですので。
また、木という素材を選んだ理由は、耐候性能だけではありませんでした。この建物を建てるにあたって、周囲のパステルカラーに変わりつつある街並に対して、昔ながらの懐かしい湘南の風景を守っていきたいという思いもありました。昔そこに建っていた船小屋を思い出すような懐かしい風合い。その風合いを出すために、板の仕上がりも鉋を掛けたプレーンな表情ではなく、少しラフな仕上りの材を選んでいます。つるっとした表情ではなく、ざらっとしたつや消しのような表情に。写真では素地のままになっていますが、耐候性を増すため、この後、塗装を掛けていく予定です。