ミース・ファン・デル・ローエ設計「レイク・ショア・ドライブ・アパートメント」。以前、「この建物からは、そのようなスマートな感はなく、ミースの自らの美に対する過激さと泥臭い執念が感じられるようであった」と建物の感想を書いた。改めて考えるとそれは、設計者ミースのグリッド(通り芯)に対する執念からきているのではないだろうか、と思い返した。
この建物は、柱の割付間隔、サッシの割付寸法を始め、床の目地、天井の目地に至るまで、徹底的にグリッド(通り芯)に全てがぴったり揃っている。この建物は2つの棟を雁行配置に並べたツインタワー構成をとっているが、その2棟の配置位置さえ、目地割にぴったりと揃っている。
設計者ミースの、完璧な軸性(グリッド性)を持たせる、という強い意志によって、この緊張感のある美が作りだされているように感じる。同じ間隔で連続する柱、同じ間隔でリズムを刻むスチールサッシなどによっても、この軸性は更に強調されている。一糸乱れぬ、過激なまでの緊張感を持った美しさ。それがミース的な美というものなのかもしれない。
Lake Shore Drive Building
住所:880 N Lake Shore Dr, Chicago, IL 60611 アメリカ合衆国