「デザイナー西村隆行のしごと」=「気づきのデザイン」

新潟県の三条ものづくり学校で開催中の「デザイナー西村隆行のしごと」展。地元三条で活躍するデザイナー、西村隆行さんが今まで関わった仕事を一堂に展示するという企画展です。パッケージからポスター、フライヤー、プロダクト製品など、様々な作品が展示されています。展示場所である三条ものづくり学校は、もともと小学校を改装した建物。展示会場の正面に黒板、横の壁は掲示板、規則正しく並んだ机と椅子と、この展示会場がもと小学校であったということを思い出させる、西村さんらしい展示構成となっています。ひとつひとつ作品は掲示板や机の上に並べられています。

今回、デザイナー本人が一つ一つの作品を前に、どうやってそのデザインを導き出したかを語る、というイベントが行なわれました。西村さんの考え出した作品から一貫して感じたのは、「気づきのデザイン」になっているということでした。そのモノが生まれてくる製造工程や背景、クライアントとの打合せから生まれた「気づき」。その気づきをあまり加工し過ぎず、素直にデザインに結びつけていくという姿勢を感じました。後からデザインが生まれてきた背景を聞けば、手品の種明かしを聞いた時のように、なんだそうかと、思ってしまうような単純な答えなのですが、それを成す事はそう簡単ではありません。日常にある当たり前の事象を虫眼鏡でじーーーっと覗き込むように観察し、そのモノを成り立たせている真理を探るような、そんな姿勢を常に持っていなければ辿り着けない境地です。

西村さんをピッチャーに例えるならば(なぜ野球に例えるかはおいといて)、カーブやフォークなどの変化球に頼るのではなく、直球ストレートで勝負する正統派ピッチャー。ただそのストレート球も、緩急上手く使い分け、なかなか打ち崩すことはできません。ひとつひとつのデザイン作品がまとう気持ちのよいストレートな雰囲気は、西村さんのその人格からにじみ出てくるのでしょうね。

西村さん、とても楽しいお話、ありがとうございました。展示は10月31日まで行なわれていますので、ぜひ皆さんも足を運んでみてください。

デザイナー西村隆行のしごと」展
会期:10月2日(金)~31日(土)
時間:8:30~22:00(最終日のみ17:00まで)
会場:三条ものづくり学校エントランス

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