伏見稲荷大社の境内を歩いていると、ふと目にとまる外観。建築に関わっている者であれば必ずや脚を止めてしまうことでしょう。私もその外観に一瞬で心を引かれてしまいました。参道をそれ、ふらふらと吸い寄せられるように建物の方向へ。
細長い板を互い違いに積上げたような外観。プレキャストコンクリートを使っているのでしょう。積上げられた板は薄く、とても華奢な印象を受けます。板同士の隙間からは空が見えています。境内の中にあって高さもボリュームもある建物です。外観をルーバー状にすることで存在感を少しでも希薄にしようという意図なのでしょうか。建物ボリュームを一つとせず、構成をいくつもに分けている所をみると、その予想は間違いでないように思えます。これだけのボリュームにそのまま外壁材を貼ったら、きっと圧迫感が生まれたでしょう。とても効果的な処理に思えます。
横ルーバーは建物の外観に影を生み、彫りの深い表情を生み出しています。ルーバー同士の納まりはとても美しく、見れば見るほど興味深い建物。googleマップで航空写真を見ると、2つの正方形の一つを45度ズラしたような八角形の星形平面をしています。内部は見れませんでしたが、機会があればぜひ内部も見てみたいと思いました。ネットで検索してみると、設計者は横河工務所とあります(現、横河建築設計事務所)。1968年竣工。
京都伏見稲荷大社儀式殿
住所:京都府京都市伏見区深草藪之内町68
開館時間:伏見稲荷大社は24時間開館(建物の一般公開はしていません)
参考:伏見稲荷大社web