ベーシックハウス02の近くを通りかかったので、そっと遠くから外観を見せてもらいました。両隣の住宅に挟まれるようにして、こじんまりと佇んでいます。周囲の家の大きさと比べるとだいぶ小さく、とてもかわいらしい立ち姿です。同じ表情の建物が並ぶ中、この独特のスケール感がとても個性的に見えます。この立ち姿は意図的に行なった訳ではなく、建設コストを抑えるという条件から出てきた必然的な形です。シンプルでありながらも、「家」という力強いイメージを作り出しています。コロニアル風から和風、地中海風など、あらゆる奇抜な形や色で溢れる街中にあって、それに対抗してデザインを主張するのではなく、あえて引くことで個性を発揮する、そんなデザイン方法も有効だと思います。
竣工から10年。デッキテラスにはブランコが掛けられ、庭の緑も大きく育っていました。窓には風に揺れる白いカーテン。住まい手の暮らしが加わり、しっくりと街並に溶けこんでいました。