6年目の無塗装杉板外壁の表情

「岩室の家」の外壁は杉板貼りです。杉板の表面には仕上げ鉋を掛けず、荒加工のまま、杉板表面を塗装せず、素地仕上げで外壁に張り込みました。竣工当初は肌色に近い明るい色目だった杉板は、6年の時を経て、落ち着いたグレー色へと表情を変えています。

グレー色の外壁が庭木の緑の背景となり、より一層緑を引き立てています。杉板の白身の部分(柔らかい分)は雨風に削られ、赤身の部分(木目の硬い部分)が残り、うづくり加工をしたように木目がきれいに浮き出して見えます。

自然素材を仕上げに使う良さは、年月とともに味わいを増していくことだと思います。近年の工業化された外壁材ではこのような味わいは実現できません。新建材では、経年変化は、劣化や汚れとして見えてしまいます。自然素材を使う為には、定期的なメンテナンス必要となり多少手間が掛かってきますが、この表情は何にも代え難い価値だと思います。唯一、時間だけが作り出せる価値です。数年後、更にどんな表情へと変化していくのか、とても愉しみです。

杉板経年変化
杉板経年変化
杉板経年変化