ミース・ファン・デル・ローエ設計「ファンズワース邸」を訪れて

ミース・ファン・デル・ローエが設計した中で世界的に有名な建物といえば、ファンズワース邸だろう。シカゴを訪れた際には、実際に見てみたいと以前から思っていた建物だ。今回は、シカゴ建築財団が主催している見学ツアーに参加してみる。一日かけてバスでシカゴ市内のミースが設計した建物を巡り、最後にファンズワース邸を訪れるというもの。

高速道路を約1時間走り、シカゴ郊外へ。窓の外を見渡すと、どこまでも麦畑が広がる。雑木林の残る一角でバスを降り、小さな小道を抜けていく。暫く歩くと、緑の木立の奥に、真っ白な建物が突如現れる。

オブジェのようだ。繊細なガラスとスチールの物体。華奢な細いスチール柱で支えられた屋根と床、2枚の板。最初に感じたのは、非現実感だった。別荘というより、純粋建築といった佇まい。ただただ美しい。美しさの他に建築に何が必要というのか、と建物が語りかけてくるよう。まるで人が住むことを拒んでいるような建築。「生活することを禁じられた別荘」究極のニヒリズム。

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