橋を渡る。ここからが大槌町。
ここまでの平和な田舎の風景が川を超えた瞬間に一転し言葉を失う。
眼前には、果てしなく広がる瓦礫の山。
津波は、すべてを力任せに薙ぎ倒していった。
報道写真では状況を理解をしていたが、それは想像以上であった。
ここに立ってみなければ分からない、感情が自分の中に一気にわき起こった。
それは怒りにも、そして悲しみにも似た複雑な感情だった。
何が起こっているのか、冷静に考えることができない。
頭が思考停止してしまうほどの情景。
立ち止まってはいけないと、自分を奮い立たせる。
厳しい状況の時ほど、冷静さが重要。深呼吸してまずは活動を始める。
私が行う活動は、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の現地隊員。
各避難所を一つ一つ回り、避難所で必要なものを調べ、ネットで公開し、
全国の人たちに支援物資を募り、避難所へ配送するというもの。
変わり果てた街で、手探りの聞き込み作業開始。長い一日が始まる。