公開日: 中古リノベーション

中古住宅リノベーションに掛かる期間|家を買ってから引越しまで半年〜1年弱

「これから始めて、いつ頃に引越しできるのでしょうか」。中古住宅の購入を考えている方から、よく聞かれることです。私の事務所では、家の鍵を受け取ってから引越しまで、半年から1年弱かかります。その幅を決めるのは、買うと決める前に、どこまで準備をしていたかです。

中古住宅を買ってリノベーションするまでには、買付、売買契約、物件の引渡しと、聞き慣れない言葉がいくつも出てきます。専門でない方には、どれが何を指すのか分かりにくいはずです。この記事では、そうした言葉も解説しながら、引越しまでの流れをお話しします。

家を買ってから引越しまで

鍵を受け取るまで

前

買う前の準備

暮らしと予算を
整理しておく

1

購入の申込(買付)

買いたいと
書面で伝える

2

売買契約・ローン

売り買いを
正式に約束する

3

鍵を受け取る(物件の引渡し)

代金を払い
自分の名義に

1〜2か月 この間に調査と設計を進める

鍵を受け取ってから

4

見積もりの調整

1か月

工務店の見積もりを
仕様で合わせる

5

工事

5か月

工事の完了まで

6

引越し

鍵を受け取ってから引越しまで 半年〜1年弱
建築確認の申請がいる大規模なリノベーションでは、少なくとも1か月余分に見ておく

購入の申込は、「買いたい」と書面で伝えること

購入の申込は、「この物件を、この価格と条件で買いたい」という意思を、書面で売主に伝えることです。不動産の取引では「買付(かいつけ)」とも呼ばれます。「購入申込書」や「買付証明書」という書類を、不動産会社を通して出します。書くのは、希望する価格、手付金の額、住宅ローンを使うかどうか、鍵を受け取る時期の希望などです。

申込について、よく聞かれることが二つあります。

一つは、「申し込んだら、必ず買わないといけないのか」。申込は、まだ売買契約ではありません。売主が条件を受け入れれば、売買契約へと進みます。ただ、申し込んだあとで取り下げれば、売主や不動産会社との信頼を損ねることにもなります。

もう一つは、「その時点で、お金はかかるのか」。不動産会社によっては、申込金をいったん預けることがあります。売買契約の前に取り下げた場合、申込金は返されます。物件の代金の一部として手付金を払うのは、売買契約のときです。

どちらにしても、申し込む前に、その家で思い描く暮らしと予算が成り立つかを見通しておくことが大切です。

申込から鍵を受け取るまで、1〜2か月

申込のあと、正式にローンの審査が始まり、売買契約、登記の手続きと代金の支払いへと進みます。売買契約は、売主と買主が、価格や引渡しの日などを書面で正式に約束することです。

代金を払い終えると、家がご自身の名義になり、鍵を受け取ります。この日を「物件の引渡し」と呼びます。申込から物件の引渡しまでは、1〜2か月ほど。

売主の了承を得て行う、購入前の現地調査

私はこの間に、売主さんの了承を得て現地調査を行い、プランや仕様の検討を進めます。名義が変わるのを待ってから設計を始めるのではなく、手続きと並行して進めていきます。調査と設計にかかるのはおよそ2か月です。

ローンの審査には、工事費の見積もりを出すことが多くあります。この時点では工務店からの見積もりが間に合わないため、私が床面積などから算出した概算の見積もりを提出します。

鍵を受け取ってから引越しまで、半年ほど

鍵を受け取ったあとは、工務店から出てきた見積もりを調整するのにおよそ1か月、工事におよそ5か月。ローン審査に出した概算と工務店の見積もりがずれた場合は、この調整の期間に仕様を見直して合わせていきます。順調に進めば、鍵を受け取ってから半年ほどで引越しができます。

期間が延びるとき

鍵を受け取ってから引越しまで、延びるとき

基本の工程建築確認がいらない場合

調整
1か月
工事 5か月

半年ほど

建築確認がいるとき大規模なリノベーション

調整と確認の審査
2か月〜
工事 5か月
+α

少なくとも+1か月 当時の図面や書類がなければ、さらに延びる

外部の工事が冬にかかるとき外装・屋根・外構を行う場合

調整
1か月
工事
雪の季節
外部は止まる
工事

鍵を受け取る時期によって延びる

帯の長さは期間の目安です。雪の季節の長さは、年や工事の内容で変わります。

雪の季節は12月から3月初旬くらい。外部の工事を雪の前に終えるか、春まで待って冬は内部を進めます。内装だけのリノベーションは、季節に左右されません。

ここまでは、建築確認の申請がいらない場合の工程です。建築確認は、計画が法律に合っているかを、工事の前に役所や検査機関に確かめてもらう手続きです。柱や壁、床、屋根などを大きく直す大規模なリノベーションでは、この申請が必要になります。2025年4月の法改正で、木造2階建ての住宅でも必要になり、中古住宅のリノベーションで申請する場面が増えました。

建築確認の審査は見積もりの調整と並行して進めますが、引越しまでの期間を少なくとも1か月は余分に見ておく必要があります。建てた当時の図面や確認申請の書類が残っていない家では、今の建物の図面を描き起こすところから始めなければならず、さらに時間がかかります。

新潟では、季節が期間に関わることもあります。ただし、それは外装や屋根、外構の工事を行う場合です。内装だけのリノベーションであれば、季節に左右されません。

外部の工事は、12月から3月初旬くらいまでの雪の積もる季節にはできなくなる期間があります。一部だけなら、シートを掛けながら進めることもできます。そのため、外部の工事が雪の前に終わるよう工程を組むか、外部の工事は春まで待ち、冬のあいだは内部の工事を進めます。梅雨の時期も、雨の日が続けば外部の工事は進みにくいもの。鍵を受け取る時期によっては、工事の期間が延びることもあります。

考える時間は、買う前に取る

鍵を受け取ってから半年という期間は、順調に進んだ場合の短めの工程です。じっくり考えたい方は、設計の期間を長めに取ることもあります。

ただ、リノベーションでは、鍵を受け取ってからあまりゆっくり進めるわけにもいきません。補助金や住宅ローン控除には、申請や入居の時期に決まりがあるものが多いからです。築年数の古い家では、購入分の住宅ローン控除を受けるために、物件の引渡しまでにしか出せない書類もあります。

考える時間を取りたいなら、申込の前に取るのが有効です。物件探しの段階から相談に来られて、設計の期間よりも、買う前の相談の期間のほうが長かった方もいるくらいです。

実際、鍵を受け取ってから半年ほどで引越しができた方は、申込の前から準備を進めていました。どのような暮らしがしたいのか、購入費と工事費を合わせた全体の予算はどのくらいかを、物件を決める前にお聞きしていました。そのうえで物件を検討しながらスケッチプランを描き、概算で工事費の目処をつけていました。工務店にも工事の時期を相談し、着工までの段取りをつけていました。

申込のあとに始めることを申込の前に済ませていた分、鍵を受け取ったあとの期間が短くなったのだと思います。

1年近くかかった方が、時間を要したところ

一方で、1年近くかかった方には、次のような事情がありました。

  • 工事の見積もりが予算を超え、仕様の調整に時間がかかった
  • 工務店がタイミングよく見つからず、着工まで間が空いた
  • 物件を購入してから相談に来られた

どれも、申込の前の準備で減らせることです。

すでに物件を購入された方も、遅すぎるということはありません。鍵を受け取ったあとに設計から始めることになるので、期間を長めに見ていただき、検討を進めていきます。

まとめ

「いつ頃に引越しできるのか」。その答えは、鍵を受け取ってから半年から1年弱です。ただ、その長さを左右するのは、鍵を受け取る前、申込の前に何をしていたかです。

物件を探している段階から相談を進めていけば、どのような暮らしがしたいのか、予算はどのくらいかを、先に整理しておけます。気になる物件が見つかったときには、その家で思い描く暮らしが実現できるかを、正しく、早く判断できます。鍵を受け取ってからの期間も、そのぶん短くなるはずです。

→ 中古住宅を選ぶ前に、暮らしと予算の物差しをつくる
→ リノベーションでは、補助金も設計の条件になる
→ 新潟で中古住宅を買ってリノベーションする
→ 新築の設計に掛かる期間|相談から入居まで約1年

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この記事の著者

金子勉
建築家 / 代表

金子 勉 Tsutomu Kaneko

美しい意匠設計に加え、高度な構造・設備設計までトータルで手掛ける建築家。無垢材などの自然素材を活かし、使い込むほどに味わいの増す空間と豊かさを実感できる暮らしを提案。新潟の風土に寄り添い、土地選びから建物診断、コンサルティングまで施主に伴走する家づくりを行う。