「ベーシックハウス02」引くというデザイン手法

ベーシックハウス02の近くを通りかかったので、そっと遠くから外観を見せてもらいました。両隣の住宅に挟まれるようにして、こじんまりと佇んでいます。周囲の家の大きさと比べるとだいぶ小さく、とてもかわいらしい立ち姿です。同じ表情の建物が並ぶ中、この独特のスケール感がとても個性的に見えます。この立ち姿は意図的に行なった訳ではなく、建設コストを抑えるという条件から出てきた必然的な形です。シンプルでありながらも、「家」という力強いイメージを作り出しています。コロニアル風から和風、地中海風など、あらゆる奇抜な形や色で溢れる街中にあって、それに対抗してデザインを主張するのではなく、あえて引くことで個性を発揮する、そんなデザイン方法も有効だと思います。

竣工から10年。デッキテラスにはブランコが掛けられ、庭の緑も大きく育っていました。窓には風に揺れる白いカーテン。住まい手の暮らしが加わり、しっくりと街並に溶けこんでいました。

ベーシックハウス ベーシックハウス

このページを保存・共有する

LINEで送る ポスト

この記事の著者

金子勉
建築家 / 代表

金子 勉 Tsutomu Kaneko

美しい意匠設計に加え、高度な構造・設備設計までトータルで手掛ける建築家。無垢材などの自然素材を活かし、使い込むほどに味わいの増す空間と豊かさを実感できる暮らしを提案。新潟の風土に寄り添い、土地選びから建物診断、コンサルティングまで施主に伴走する家づくりを行う。