公開日: 原子力発電所を巡る

美浜原子力発電所を訪れて

敦賀原子力発電所を後にし、半島裏側の美浜原子力発電所へと向かう。
峠を越えて、車で約30分。
目の前に白い砂浜と青い海が広がる。
車を止め、砂浜を歩く。
美しい風景の先、異質なものに目が止まる。
初めて見るのに、見たことのある風景。
忌野清志郎の「サマータイム・ブルース」が頭の中に響く。
「人気のない所で泳いでいたら 原子力発電所が建っていた」
「電力は余ってる 要らねえ もう要らねえ」
現在、国内すべての原子力発電所は、停止または定期点検中であり、
稼動しているものは一つもない。
火力や水力発電所がフル稼働しているからとはいえ、
電力が不足するというような話を聞かなくなった。
安全性に不安のある原子力発電に頼るのではなく、
多少発電コストが掛かったとしても、
他の安全性の高い発電方法を選択するのがベターではないのか。
夏には、この砂浜は海水浴客でいっぱいになるという。
のんびりとした平和な空気の中に建つ、不穏な存在。
このコントラストの違いはいったいなんなのか。
暴力的な力を宿しながら、無表情を装って、知らん顔して建っている。

021022023

このページを保存・共有する

LINEで送る ポスト

この記事の著者

金子勉
建築家 / 代表

金子 勉 Tsutomu Kaneko

美しい意匠設計に加え、高度な構造・設備設計までトータルで手掛ける建築家。無垢材などの自然素材を活かし、使い込むほどに味わいの増す空間と豊かさを実感できる暮らしを提案。新潟の風土に寄り添い、土地選びから建物診断、コンサルティングまで施主に伴走する家づくりを行う。