【第5回】平屋と2階建て、どちらが正解ですか?

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【第5回】平屋と2階建て、どちらが正解ですか?

家の広さには土地が大きく関係していることを理解した松永さんご夫妻。家の構造についてはまだ具体的に定まっていないようです。そこで今回は、平屋と2階建てに焦点を当ててお話ししていきます。

祐樹(夫): 平屋と2階建て、どちらも良いなと思うんですが、何を基準に選べば良いのかわからないんです。

金子: なるほど、構造選びの基準についてですね。どちらが良いかというのは、永遠の課題のような気がします。ちなみにおふたりでお住まいになられる家ということですが、将来的に出産のご予定はあったりしますか?

瑠璃子(妻): 実は今、子供を授かりたいかは考えていないんです。お互いの親とも同居する将来設計も無いですし。なので、夫婦2人で住める家が良いよねと話してはいたんですよね。

金子: なるほど。そうすると、場所にもよりますが平屋も視野に入ってくると思います。ただ、現状はまだどちらが良いとは言えませんので、それぞれについてご説明させてください。

祐樹: よろしくお願いします。

平屋の特徴

L型プランの家模型
金子: まずは平屋の特徴から。平屋は昔ながらのワンフロア構造で、少し前までは昭和的な古臭いイメージを持たれる方が多くいらっしゃいました。ところが、近年の技術の進化に伴ってこの10年ほどでデザイン性の高い平屋が徐々に増えてきたのです。ワンフロアですのでバリアフリー設計も実現しやすく、それとともに平屋の住みやすさも見直されて、今では家を建てるなら平屋が良いという声も多くなってきています。

祐樹: 平屋って住みやすいのか、イメージに無かったなぁ。

金子: 私のこの自邸も平屋ですし、最近の設計物件でも30坪前後の平屋のプロジェクトが多いですね。

2階建ての特徴

ユニベールハウス模型外観
金子: そしてもう一方の2階建てです。現在日本の多くの家で2階建て構造が採用されていますので、馴染みがあると思います。平屋とは違い上へ階層を増やせるので、コンパクトな土地でも建てられる利点があります。また、建物に高さがありますので、一部を吹き抜けにして室内に開放感を作り出せる点も平屋にはない魅力です。ただし階段を使って上下の行き来が発生しますので、体の負担は多少なりとも掛かります。

以上の前提をもとに、どちらを選べばいいかポイントを絞って見ていきましょう。

平屋と2階建てを選ぶ5つのポイント

金子: まずどちらかを選ぶポイントとして挙げられる点が4つあります。

ポイント1: 建築費用

金子: まず平屋と2階建てで差が出やすいのが建築費用です。そもそも平屋と2階建ての構造の違いから、基礎と屋根の面積が大きく異なります。

基礎と屋根の大きさの違い

金子: 平屋のほうが基礎と屋根の面積が広い。ということは、単純に材料や施工費がその分掛かってきますので、一般的に平屋のほうが建築費用が高いのです。

瑠璃子: 平屋はぜいたくって聞いたことがあるけど、実際に高かったんですね。

金子: そうなんです。とはいっても、工夫次第で建築費用を抑えることもできますし、土地の取得がまだでしたら土地の価格と一緒に考えることでその差を埋めることができます。

ポイント2: 土地

金子: そして次に土地です。前回もお話しましたが、広すぎず狭すぎずのちょうどよい土地を選ぶことを前提とした比較になります。これも平屋はワンフロア構造で床面積を必要としますから、平屋のほうが広い土地が必要になります。

必要な土地の広さ

金子: 同じ坪単価の土地という条件で考えれば、平屋のほうが取得コストが掛かる。2階建てのほうがコンパクトな土地に建てられるということですね。ただし、土地については条件も考慮する必要があります。

祐樹: 土地の条件…ですか?

金子: 例えば日当たりです。密集地などで土地の周囲を高い建物で囲まれていれば、仮に平屋を建てたとしても、十分な採光が取れず陽の光が入らない暗い家になってしまいます。そういった土地では2階建てが向いているでしょう。街なかの住宅街で2階建てが多いのは、土地が狭い前提の他にそういった理由もあります。

しかし正直なところ、新潟のような地方、その中でも郊外エリアで土地を探せば、日当たり良好で十分な広さがあり、ご近所さんともほどよく離れている低価格な土地が結構出てきます。そういったお手頃な土地を選ぶことで、平屋でも2階建てでも土地の取得価格での差がほぼなくなるわけです。土地を安く手に入れられる結果、浮いたお金を建築費用に回せると考えれば、難しく考えずにお好きな方を選択するのもありだと思いますね。郊外ですと生活の利便性は落ちますが、その分自然が多く景観の良い場所も多いですし、日常生活に支障がないなら個人的におすすめの選択です。

瑠璃子: 不便なのはちょっと不安ですけど、自然の豊かな場所に家を建てるのって憧れてたんです。コストダウンになるなら良いかもしれないですね!

ポイント3: 税金

金子: 建物と土地とくればそれに固定資産税と呼ばれる税金が掛かってきますので、そちらも考慮しておく必要があります。

祐樹: 税金かぁ、世の中厳しいですねぇ。

金子: 固定資産税は建物と土地に対して、毎年支払いが発生する税金です。建物に関しては新築時から徐々に下がっていきますが、建物として機能する限りはずっと払い続けなければなりません。土地も同様に、持っている限り税金を払い続ける必要があります。
固定資産税は長期的なランニングコストとなりますので、なるべく負担を抑えたいのであれば、建物と土地をコンパクトに抑えるという方向で検討していただくのが良いかと思います。ですが、ランニングコストを気にしてあまり切り詰め過ぎると、理想の家から徐々に遠のいてしまいますので、どれくらいだったら毎年の税金を許容できるかをあらかじめシミュレーションしておくと安心です。固定資産税の計算方法については複雑になりますのでここでは割愛しますが、気になるようでしたら別途ご質問ください。

瑠璃子: ということなので、税金の支払いよろしくね。

祐樹: よろしくって言われても。。

ポイント4: 生活のしやすさ

金子: まだまだ平屋と2階建ての検討ポイントはあります。一番重要と言っても過言ではない、生活のしやすさも抑えておきたいポイントです。

まず平屋ですと、ワンフロア構造から生活動線を考えやすい点がメリットです。階段の上り降りを考えなくて済みますので、水回りを集約したり洗濯してから干すまでといった家事動線を効率的に設計できます。また、自分たちが歳を重ねたときにのしかかってくる、身体的負担が低いことも強みです。

祐樹: 意外と平屋って理にかなっているんですね。

金子: 一方2階建てでは階段がありますので、生活動線をうまく設計することがポイントになります。実際に住み始めた後のことを具体的に想像しながら間取りを考えたいですね。どこに浴室や洗濯場を設けて、洗濯後はどこで干すのか。2階にリビングを配置する方も多いのですが、その場合に買い物から帰ってきたとき、毎回2階まで階段を上って物を運ぶことが苦じゃないかなどできるだけ具体的に。1日の生活リズムをもとに想像力を働かせていくと、自分たちにとって平屋が良いのか2階建てが良いのかわかってくるはずです。

祐樹: 2階にリビングがあると、賃貸物件の2階に住んでることと同じになるのか。

金子: さらにはプライバシー性についても説明しておきましょう。
平屋は建設地周辺の人通りによって、プライバシー性をどう担保するかを考えます。家の中で外を歩いている人と目が合ったり、遠目に家の中を覗かれるのはさすがに嫌ですよね。基本的に、家の向き、窓の配置場所、目隠しを設けるなどで対応します。1日中カーテンを締めて生活するというのも勿体ないですからね。
プライバシーという点では2階建てのほうがメリットが大きいのです。例えば、時間を長く過ごすリビングなどの生活空間を2階に配置することで、外からの視線をある程度遮断できます。2階にリビングがある方の中には、常に外の景色を見ていたいからと窓にカーテンを取り付けていない方もいらっしゃるくらいです。
また2階にいれば、外から人がすぐに入ってこれない安心感が得られるため、寝室を2階に配置することで精神的にリラックスできる間取りを実現できます。

瑠璃子: 今賃貸の一軒家に住んでいるんですけど、目の前の道を人が通るのがいつも気になっていたんですよね。そこは絶対に解消したいです。

金子: そうですよね。住み始めれば慣れてしまうことかもしれませんが、後から変更できないことですので、日常生活に関わることはしっかり考えておきたいですね。

土地と生活スタイルに応じて選びましょう

金子: 平屋と2階建てを選ぶポイントについて挙げさせてもらいましたが、結局のところ、どの場所(土地)でどんな生活スタイルで暮らしたいか、が重要だと考えています。理想の家づくりは、そこに住む人の生活がベースとなります。ですので、前回の土地の探し方を参考に、どんな土地が自分たちに合っているのかを固めた上で、そこでの生活を具体的に考えてみることが近道でしょう。

祐樹: わかりました。やはり自分たちの生活ありきで考えないといけないのですね。

金子: そうです。もう動けるのでしたら、並行して土地を探し始めても良いと思いますよ。もし気になる土地が見つかったということであれば、私も土地や周辺をチェックしながら、平屋と2階建てどちらが良いかアドバイスさせていただきますので。

祐樹: ありがとうございます。どんな生活が理想なのか、帰って妻ととことん話し合おうと思います。
今日はずっと質問攻めですみません。あと、この話の流れで聞いておきたいのですが、最近世の中の物価が上がっているじゃないですか。家を建てるのもできる限りコストを抑えたいという気持ちはあるんです。でも今日の金子さんのお話を聞いて、建築費用をケチってしまうのも良くないことだとわかりました。実は新築のほかに中古物件も気になっているんですけど、一軒家のリノベーションだと実際には費用を安く抑えられるものなのでしょうか?

金子: 物価上昇は仕方のないことですよね。物価とともに建築費用も上がっていますし、中古物件も選択肢に入ると思います。最近相談や設計事例も増えていますので、次は中古リノベーションの実情についてお話ししましょう。

この記事のまとめ

  • 建築費用と土地は平屋のほうが高くなりがち。
  • 土地の取得価格を抑えることで、建築費用の差を埋められる。
  • 長期のランニングコストとして固定資産税を見込んでおく。
  • 生活動線とプライバシー設計を考えた間取りを意識する。
  • どの場所(土地)でどんな生活スタイルで暮らしたいかを考える。

(連載6回目に続きます)