カテゴリー: 2022 粟生津の平屋

住宅設計の進め方

住宅設計とはどんなものなのか?その中身はどんなものなのか?

設計事務所が実際にどんなことをしているのか、具体的にイメージできる人は少ないでしょう。一言で住宅設計といっても、設計士が100人いれば、設計の仕方は100通り違います。参考までに、私の事務所で進行している住宅設計の一部をお見せします。

スタディ模型作り

こちらの住宅は、おおまかな平面プランが確定したことろで、現在、細かな部分調整を進めている段階です。平面の構成がある程度みえてきたところで一度、縮尺1/100のボリューム模型を作って、建物の外観バランスや内部空間の雰囲気を確認していきます。平面という2次元情報で確認しにくい部分が、立体的な3次元模型を作ることで顕在化していきます。

3次元化するのに3Dパース(透視図)データを作成する方法もあるのですが、3Dモデリングですとカメラのレンズ設定次第で、実際の広さよりも広く見せることができきるため、構造体の確認などで使用することはあっても、私の事務所ではあまり積極的に採用していません。

住宅模型作製中

パソコン上で作成した平面図を下敷きに、壁に見立てた木の板をカッターで切り、接着剤でくっつけていきます。模型に使う壁や柱などの部材は、そのまま画材屋さんで売っている訳ではありません。ボードなどの模型材料を、定規で測って、部材をひとつひとつカッターで切り出し作っていく必要があります。写真の模型では、ボードから壁材を切り出し、木の角棒から柱や梁を切り出しています。

住宅模型作製中

模型を作り始めると、机の上が一気にモノで埋まってしまいます。作業するスペースは広ければ広いほど良いのですが、そんなに贅沢は言ってられません。材料を切っては片づけ、切っては片づけをひたすら繰り返していきます。

住宅模型作製

スタディ模型ができあがりました。今回の住宅は柱梁構造を表した建物のため、柱梁材も忠実に再現して作りました。出来上がった模型を外から眺めたり、中を覗いたりして、バランスの良い空間となっているかを確認します。模型を見て、こうすればもっと良くなる、と思いついたことがあれば、直ぐにそれを反映させ、図面を修正していきます。

バランスが悪いからというだけで、簡単に柱梁の位置をずらしたり、寸法を変えたりはできません。構造的に安全であるかどうかを、構造解析ソフトを使って構造計算しつつ、慎重に図面修正を行います。デザインだけがいくら美しくとも、構造的に成り立っていなければ、住宅とは言えませんので。

模型を使って検討を進める

詳細模型作製
再び、図面から模型作製に戻ります。前回作った時のアイディアを盛り込み、今度は前回よりも大きな1/50の縮尺で詳細に模型を作ります。キッチンカウンターやテーブル、収納棚などの細かな部分を作り込み、よりリアルに仕上げていきます。

私の場合、模型を作っては壊し、また作り変えてと、何度も壊わす/作るを繰り返すことで、ああでもない、こうでもない、こうするともっと良くなるのか?と、手を使って考えるための道具だと思っています。ですので、勿体ないと思わず、良くなる所はどんどんと作り変えて試行錯誤を盛り込んでいきます。(何度も作り替えるので、次第にボロボロになっていってしまうのですが)

スケッチで考える

納まり検討スケッチ

模型が出来たところで、キッチンの向きを変えた方が良いのでは?という意見が出てきました。そこで今度は、印刷した図面に半透明のトレーシングペーパーを重ね、その上からペンと色鉛筆でスケッチし、検討していきます。排気フードの納まりが厳しい箇所なので、換気扇メーカーの詳細な製作寸法図を睨みながら、納まる箇所を探して、納得いくまでスケッチを繰り返します。

スケッチでこれならいける!という箇所を探し出したところで、再び模型に戻って、キッチン部分を作り直していきます。図面上は納まったとしても、それが美しくなければ、意味はありません。模型を作って、実際にそのレイアウトがどのように見えるのか、再び検証していきます。

図面を描くだけが設計ではない

住宅模型スタディ

キッチン部分を作り込んだ模型の写真です。細かく作り込むことで、どのように見えるか、イメージしやすくなります。この模型を覗き込んで打合せをして、再び、図面調整へと進んでいき・・・・作業は、まだまだ続きます。

設計の進め方の一部だけをかい摘んだ程度ですが、住宅設計の一部を公開してみました。少しは住宅設計というものをイメージできたでしょうか?

住宅設計と聞くと、設計図を書いているだけのように思われがちですが、実は図面だけでなく、模型やスケッチ、メールやネット検索などを駆使した複合的な業務となっています。最近では設計図面を描くだけでなく、耐震計算や断熱性能計算ソフトを使いこなす技術と専門的な知識も求められ、マルチタスクでなければ、こなせない多岐に渡る業務となっています。